Escape from tetora pod

Time goes slowly ulala,ulala...

2022上期良かったアルバムと生活について

Posted on July 14, 2022

2022年よかったアルバムについて。割りと真面目に書いてしまった原稿は年末に取っておくことにして、軽く触れていく。

BADモード / 宇多田ヒカル

何がBADなんだよ、という素朴なツッコミどころが一周回って陳腐にならない凄さ。One Last Kissを作れるのは宇多田ヒカルしかいないけど、One Last Kissをアルバムになじませることができるのはもっと宇多田ヒカルしかいない。

JUMP ROPE FREAKS / ズーカラデル

なんだかんだ聞き続けてしまう。変わっていないようにも見えるけど、少しずつ前に進んでいることも想像できる。その想像が追いつかなくなって、裏切られたなと思うときが来るのをまっているところがある。

Cとし生けるもの / リーガルリリー

中央線が出てくるアルバムは名盤。何がしたいのかよくわかっていないけど、でも好きな部分にはちゃんと刺されている感じがある。

Pre Normal / paionia

最初聞いたときはSyrup16gが好きなバンドって感じだねみたいな感覚だったけど、このアルバムで鬱屈とした感情をより開けた形で作品にしてきて驚いた。昇華しているわけではないのがいい。Syrup16gとの対バン待ってます。

NIA / 中村佳穂

「イケてるイケイケソングは屋根のないところで叫んでみたいよね」わかるよそうだよそうかなわかんないやところでこのアルバムはめっちゃ好き。祝祭がすごすぎる。

ミメーシス / 日食なつこ

「√-1」は一番聞いた曲でした。前の彼女の作品もある程度聞いてどれも良かったけど、このアルバムは擬態がテーマだけあってある程度強めな演技があって、魅力が伝わりやすくよい塩梅担っているように思います。

ぼちぼち銀河 / 柴田聡子

聞き終えてもぼちぼち銀河が何なのかわかってない。狂ってるけどスピってない。目の笑っていないアルバムは名盤。

MY GENERATION / ゆうらん船

素朴に良いバンドだなと思うし、前作のちょっと閉じてしまった感じもない。傑作だと思います。


今年もそこそこアルバムは聞いた。音楽に関しては三つ大きな変化があって、引っ越しと就職とプロセカ。

生活はまず引っ越しで関西圏に引っ越した。東京で好きになったバンドはなかなか追いかけづらい。ある程度売れているバンドなら関西圏には遠征に来てくれることが多いので見れる機会は多いんだけど、若手バンドを気軽に見に行くのはなかなか難しい。心理的にも金銭的にも。もう少し落ち着いたらどうなるかわからん。

就職はまあ就職の通りで、まあめっちゃ影響しているわけではないが、昼間に音楽を聞かなくなったのは大きいかも。音楽を聴くのは一日三十分ぐらいしている散歩の間なので、大体その間にアルバムを一枚聞き終えるぐらいの感覚でやっている。まあもともと新譜を熱心に聞いているわけではないのでこの辺も変わらないのかな。

あとはプロセカ。ボーカロイド楽曲を改めて聴く機会が与えられたのはいいことだなと思う。私がボーカロイドをちょっと触ってたのってカゲプロとかそういう頃なので良くも悪くもある種の創作的な文脈との過渡期にあって、今新しい曲とか聴くとかなり洗練されていて驚く、というかプロセカの楽曲がそういう洗練された楽曲たちだなと思う。もちろん洗練されているだけではないのだけど、洗練されることで初めて得られる柔らかさのようなものがプロセカの楽曲たちにはある。


4月5月ぐらいはなかなか健康的だったんだけど、6月ぐらいからちょっとしんどいなと思う瞬間が多かった。理由ははっきりしていて、創作活動や自己研鑽をやろうとしていたからだと思う。2月ぐらいからセラピーみたいな行動しかしてなかったから、ぼちぼち精神的な余裕も出てきたかなと思っていたのだけど、思ったより駄目だった。何が駄目かはかなりはっきりしていて、具体的に言うとインプットがマジでできていない。更に正確に言えば、自分の望むインプットができていない。

本も読めてないし、アニメや映画も見れていない。ソシャゲのストーリーも読めてないし、漫画も読めていない。そういう状態にある。正確には多少はできているんだけど、基本的に意識してやろうとした瞬間に手が止まって何も読めなくなる。そういう状態がここ三年ぐらい続いていると思う。仕方ないのでかなりごまかしつつ適当にやったり、あまり興味のない分野の話を読んで活字を体の中にためたりして暮らしている。 結構この症状はひどくて、本を読めている人/物語を楽しめている人を見ると嫉妬の感情がある。最初はこの感情が嫉妬であるということを認められなくて無駄にイライラしたりしてしまった。嫉妬なのだと気づけたのはここ数ヶ月の話。

なんで読めないかというと、めんどくさがりやと完璧主義という最悪なセットがあるからだと思う。読むための時間とか先に読んでおくべきものとかを想像して勝手にめんどくさくなってる。最悪。はよ読めよという話ではあると思うんだけど、ここでおしすぎるとそれはそれで精神的に気が滅入りそうで難しい。なんで自分に対してバランスゲームをしなくてはいけないのか。

そういう感じで、まあ当然インプットが足りてないのでアウトプットも足りず、創作もあんまり捗ってない。労働を始めたのもそれなりにあるけど、それ以上にインプットが足りてないのが遅筆の原因だと思う。基本的に健康なんだけど、こういうことを考えると鬱々としてしまうので散歩に出てる方が精神状態がいい。

しかしこういうときでも音楽はそこそこ聞けるので、まあ助かってる。音楽に生かされてるみたいな話はしたくないが、感謝はしている。多分DTMとかは手を出せないと思う。聴くハードルが上がってしまうので。


鬱々とした話で〆るのもなんなのでシングルの話をしておくと、坂本真綾の菫が本当によかった。

坂本真綾の楽曲はどうしてもある種の少女性を含んでいるというか、自分の心持ちが多くて、そこから一つ超えた繋ぐというテーマを歌ってくれたこと、そこに「僕たちは繋ぐ生き物だから 誰かの夢の続きをあきらめきれず紡いでいく なんでもないような顔して」という坂本真綾らしい衝撃的で優しい歌詞を用意してくれたのが本当に嬉しかった。

音楽と人との記事1 に載っていた話によると、これは子供を授からない人生だったと感じているときに書いた歌詞らしい。私には苦しみを想像する事はできないし、彼女の音楽を消費する2 ことしかできないけれど、その立場からして、そういうある種の悲しみの中から生まれた言葉がきっと誰かに(少なくとも私に)ある種の喜びを与えてくれたことが嬉しかった。


  1. 坂本真綾、思わぬ運命を感じさせるニューシングル。様々な節目の時期を迎えた彼女の現在地 | 音楽と人.com ↩︎

  2. あえてこういう書き方をするけど ↩︎