Escape from tetora pod

Time goes slowly ulala,ulala...

ALBUM OF THE YEAR 2021

Posted on December 31, 2021

今年のアルバムをよかった順に。去年はトップ10だったからランキング下から投げていったけど、今回はいい順に書きたいアルバムについて書いていこうかなと思う。ところで今年一年何してました?何も覚えてないよ……俺は……。

1. Moving Days / Homecomings

今年メジャーデビューした彼女たちのメジャー1stアルバムはメジャーデビューに相応しいクオリティと信念の強さが感じられたよい一枚だった。元からかなり洗練されていた音楽性からより一歩踏み出したアレンジが加わりながらも、軸である優しさは変わらず残っている音楽が美しい。WHALE LIVINGのある種物語的な優しさ、そこにあるだけであった優しさが、二年間の時を経て現実へと着地するようになったように感じる。「Moving Day Part1」の『優しいだけだとダメなのだとふと思う』に対しての「Moving Day Pt. 2」の『やさしいだけでうれしかったよ やさしいだけで』という答えや、Cakesのアレンジの仕方からもそういう変化が感じられた。アルバムの最初と最後を飾る「Herge」「Here」もよかった。あと特筆すべきは「Tiny Kitchen」で、キッチンという生活的なテーマの中にある種の俗っぽさと生活自体の流れを上手く絡めた作詞だと感じた。今年よかったアルバムはいっぱいあったけど、一番嬉しかったのはこのアルバムだったなと思う。

2. ネクライトーキー / FREAK

ネクライトーキーは実は「オシャレ大作戦」と「こんがらがった!」以外あまり聞いていなくて、アルバムとして通して聞いたのはこれが初めてだったのだけど、思った以上にロックをやっているバンドだなと思った。 アップテンポで始まりつつ不甲斐なさがタイトルと絡む「気になっていく」から始まったこともあり、全体的にどこか攻撃的なアルバムではある。一方で「はよファズ踏めや」「Mr. エレキギターマン」と言った音楽の楽しさが強い楽曲もあって、聞きやすさの中に棘がある感じがよい。 不安や鬱屈がちゃんとアクセントとなっているのがいい。メッセージ性等を考えるとロックっぽい態度なんだけど、エンタメを忘れていない姿勢があって、それがより彼らの中にある負の感情を確かにしている。昇華みたいな単純な話じゃないのがいい。

3. サンバースト / The Birthday

かっこいい。それ以外言うことがない。「月光」や「ギムレット」みたいなポエトリーリーディング的な楽曲も、「12月2日」の重厚感も、「レボルバー」から感じられる余裕も全部よかった。去年シングルにしていた「オルゴール」と「ヒマワリ」が入っていないのは意外だったが、それに納得がいくぐらいアルバム楽曲のレベルも高かった。 でもベストはやっぱ「息もできない」ですね。

生きてる 生きてよ そう聞こえた気がした 黙って塞いだ 息もできないぐらいに

4. 愛と例話 / teto

メンバーの脱退とともに発表されたアルバム。過去の大量楽曲とは違い、一枚の作品を作ることの意識が感じられる作品だった。どこか彼らの境遇とも重なる「メアリー、無理しないで」がボーカルとフレーズが一際光る「遊泳地」につながるのが良い。ある種の無敵がはがれた彼らはそれでも強そうでうれしかった。既存曲の「inivisible」なんかもアルバムに入ることでよりよくなっている感じがある。

5. 新しい果実 / GRAPEVINE

「ねずみ浄土」の歌詞の鋭さとか、「Gifted」の歌詞の中に壮大さに社会を映すのとか、やっぱり凄いバンドだなと再確認させられた一枚。言ってしまえば今までの作り方と変わってはいないのだろうけど、それが時代に合っているというか、ある種の超然とした態度から社会を感じる一枚でもあった。セルフプロデュースだけあって、聞きやすさはあまりないが、しかし飲み込んだ末にはじっくり楽しめる一枚、という感じ。

6. 輝きの中に立っている / 時速36km

二枚の三曲入りミニアルバム、三か月連続シングルリリース、先行シングルリリースの楽曲を入れつつ新たに制作した楽曲も含め全15曲のアルバム。新人アーティストっぽいアルバムに感じる熱量と、曲の演出の上手さと、でもどこか不器用な歌詞と、いろいろ好きになれる要素があっていい。時速36kmはつくづく偉いバンドだなと思う。一番いいのは「スーパースター」。『俺のギターで』のところとか、全く嫌いになれないズルさがある。

7. Duets / 坂本真綾

坂本真綾のミニアルバムはコンセプトが結構はっきり決まっていて、アーティストとしての側面が強く出ていて好きなんだけど、今作も例にもれずよいアルバムだった。坂本真綾の歌唱力のすごさって歌のうまさも当然あるけど「どういう声を求められているか」「どういう歌い方をするべきなのか」を瞬時に理解して歌うところだと思っていて、メドレーとかは驚愕ものなんだけど、今回はデュエットっていうテーマもあっていつも以上に楽曲と人に合わせて歌い方を多彩に返る坂本真綾が楽しめてよかった。一番好きなのは一曲目。和田さんの声がよすぎる……。

8. SNS / Analogfish

今日書いてる中でも特にカッコよくスタイリッシュな一枚。現代的というか流行りの音楽っぽいオシャレさと、どこか泥臭い歌詞のミックスが全体として感じられて嬉しい。アルバムも「Miharashi」から「Satuday Night Sky」までの流れとか、「Yakisoba」で落ち着ける感じとか、「うつくしいほし」のベテランしか歌えない感じが「Can I Talk to You」にも引き継がれてるんだけどでも違う形になってるのとか、アルバム一枚を聞いた体験として良かった。

9. love is the mystery / Lantern Parade

「目は澱んでも存在は輝く」とかいう激ヤバフレーズはおいておいて、面白いアルバムだなと思った。ダンスミュージックであることが先にきて、歌詞もその通り気持ちよく踊れるところがあるんだけど、でもよくよく聞くと「???」ってなる感じが面白かった。歌も上手いとはいいがたいものの特殊な魅力があって勝てないというか。なんなんですか?あと、目が澱んでも存在は輝くって、確かめようがないだろ。

10. Twilight / 土岐麻子

同名の名曲を彷彿とさせながらも現代的なリバイバルが美しい「Close to you」、軽やかなメロディの中にも寂しさと決意が力強く映える「travellers」など、土岐麻子らしさが伝わる一方で飽きもない上質な一枚。気づけば一枚終わっている聞きやすさなのに、聞いてる最中にふと顔を上げてしまう。

11. CORE 4 / The Birthday

上述したアルバムから漏れたらしい楽曲四曲組のEPなんだけど、これがヤバい出来だった。イントロからもう最高としか言いようがない「ある朝」から始まって、4曲という少ない枚数でも一枚の聞きごたえはばっちり。ぶっちゃけ好きな楽曲の密度で言えばこっちのほうがアルバムより高いかもしれないと思う。ベテランが一枚アルバム出すだけじゃ飽き足らずもう一枚EP出すのすごい。

12. 6 case / ユアネス

まず声がいい。最近あんまり聞かない感じのアルトで、アップテンポの曲もスローな曲もフレーズを聞かせる力がある声があると思う。「籠の中に鳥」みたいなしっとりした曲から「49/51」みたいなポップまで、かなりオールラウンダーなバンドだと感じる。アルバム一枚としての流れもよくできている。今後が楽しみですね。

13. pinic / ArtTheaterGuild

前作のEPから二年、今回は自主制作盤となった一枚だけど、やっぱメロディの作り方はとてもいいなと思う。アップテンポの「BUTTER CUP」、静かな中に情熱のこもった「モウゼ」が特に好き。バンドが受ける影響とかいろいろ聞いてて簡単にできることではないとはわかっていますが、アルバム楽しみにしております。

14. うすらい / ラッキーオールドサン

男女(夫婦)デュオバンドの一枚。落ち着いているがどこか芯のハッキリとした女声と素朴な男性が絡んで穏やかな音楽が生まれていく……というのが一般的な評価だと思うんだけど、しかし私だけかもしれないが、このバンドはどこか危うい瞬間がある。「下北沢にて」で見たときに、夫婦が一つのマイクを分け合って歌うっていう微笑ましい画の中から、急に死や終わりに近しいところが歌われるのが非常に危うい感じでビビってしまった。改めて音源を聞いてみると、音数の多さでその危うさは直接見えないが、しかし穏やかなだけではないなとも感じる。バックグラウンドが豊富なのだろうか、楽曲もそれぞれ癖がありつつ飽きさせない。現状通販かライブ会場限定だが、いくつか聞いて気に入ってるんだったら買う価値はあると思います。

15. PK Shampoo.wav / PK Sahmpoo

音がデカすぎる。13曲で二枚組って何?などいろいろ言いたいことはあるが、白紙委任状が二分持ってるのですべて許せてしまう。あんまり許してないかもしれない。でも「君の秘密になりたい」とか「夜間通用口」とかはやっぱグッとくるフレーズがあってさすがだなと思う。音楽と人のインタビューも読んだせいで1、このアル中からどうしてこのアルバムがという気持ちが抜けないため、この順位で。


その他一行ずつ。

  • dimen / NOT WONK
    • 日本語の曲が聞きたくないときは大体聞いてた。テクニックもメロディも変調の仕方も全部かっこいい。
  • Ethernity / For Tracy Hyde
    • 良かったと思う。インスパイア元がわからないので楽しみ切れなかったところはある。
  • 日記を燃やして / 橋本絵莉子
    • まだ全部は聞けてないが、なんだこれは……、という感じ。自分がマジで好きなバンドのメンバーが解散してソロでこれ出してきたら気が狂うだろうなと思う。

今年聞いたやつのメモ

今年良かった曲


  1. 同月に坂本真綾のインタビューが載ってたのだ ↩︎