Escape from tetora pod

Time goes slowly ulala,ulala...

ALBUM OF THE YEAR 2020

Posted on December 31, 2020

去年か一昨年辺りからフォロワーと積極的にやってる今年のアルバム9選みたいなやつをちょっと真面目に文章付きでやりたいなと考えており、せっかくの機会なのでこのブログで書いてみる。音楽はそれなりに聞いてはいるが聞いているだけで完全にド素人なので音楽的に面白いレビューとかは期待しないでください。

10. 山中さわお / Nonocular violet

2020年がこんな年じゃなかったとしても、8枚CDを出すやつは十分頭がおかしいと思う。ヒルビリーはかく語りきも、アインザッツも良かったが、最後に出てくるアルバムが一番いいと感じられるのはすごい。「サナトリウムの長い午後」とか素敵なタイトルで素敵なサウンドで始まってこのラスサビにつながるの、とてもいいですね。

9. がらんどう / ズーカラデル

去年のアーティスト名を持ってきた「ズーカラデル」から一年、どんな歌を歌うのだろうかと思っていたけど、やっぱり素朴に良くて安心した。「夢が覚めたら」で終わるのも良い。音楽と人のインタビューも良かった。実直な感じで。

8. MY GENERATION / ゆうらん船

「素朴と前衛は矛盾しない。」というキャッチコピーの通りに、自在に楽器と声を操りながら素朴さが失われていない面白いバンド。内村イタルの書く言葉だけでも詩として十分成り立つほど完成度の高い歌詞に、フォーク・ロックなどをベースにしたサウンドが合わさるのが心地よい。

アルバムを最初に聞くより「サブマリン」「夢見てる」などを聞いたほうが入りやすいかもしれない。

7. farewell your town / Laura day romance

今年知ったバンド。男女ツインボーカルは安定してるか安定していないかが振り切れているように思うが、Laura day romanceはとても安定している。ニュートラルだが、しかし思想性を嫌うようなこともない、クレーバーな若者、という感じのバンド。街をテーマにその周辺で起こる感情の変化が、最後に"rendez-vous"で締めくくられるのが素晴らしい。

ただあまりにもニュートラルなので、聞くなら「夜のジェットコースター」を聞いてからのほうがつかみやすいかもしれない。

6. いいね! / サニーデイ・サービス

ぶっちゃけ書くことが何もない、シンプルにいい。2018年デビューのバンドですって言われても何も驚かないぐらいのフレッシュっさがあるが、一方ではしゃぎすぎているわけでもなく、非常に心地よい。それはそれとして今夜でっかい車にぶつかってしんじゃおうかなじゃあないんだが。

5. The New Abnormal / The Strokes

ArtTheaterGuildが出囃子として流す音楽、好きにならないわけがないんだよな、という感じ。個人的な感覚として、一応他のアルバムも聞いてみたのだがそれらよりも洗練されているように感じる。オルタナロックってこういう感じなのかな、というような。音楽を聞くなら誰にでも勧められるような完成度の高さ。今年は洋楽をちゃんとdigろうと思って一枚目にあったこれで完全に満足してしまった。来年こそは。

4. 地球儀 / 東京パピーズ

素朴な純粋なバンドサウンドの中に、真っ直ぐな歌詞が乗る。シンプルにいい。アルバムとしての出来もいい。早くCDがほしい!今の百倍は聞かれていいと思う。

3. hope / マカロニえんぴつ

たくさんのタイアップと先行EPを抱えた中でどうアルバムを作るのか、結構難しい問題だとは思うが、マカロニえんぴつはその点見事だと思う。ブルーベリー・ナイツ、ヤングアダルト等の人気楽曲を丁寧に配置しながら、新曲も決してそれに負けないだけの力がある。正確には「発展性」がある。そもそもマカロニえんぴつの楽曲の一つの特徴として、俯瞰的な視点/集団の中の君と僕、というのがあったように思う。それが変わったと感じるのは「恋人ごっこ」で、これは「ごっこ」という俯瞰的な視点でのタイトルを持ち、そのとおりの関係を歌いながら、そのごっこ遊びの側面から自分の感情へと踏み込み、ごっこ遊びを終えたからこそ吐露できる心情が最後に流れ込む。

こういうことができるようになったんだな、と思って、じゃあアルバムタイトルになってるhopeでなにするんだろ、と思ったら完全にやられた。歌詞のはじめが「十三月」で始まるのとか、なんの説明もなしに水曜日を強調するのとか、文脈を曲中で作り上げてちゃんと成功している。他者のエピソードを想起させるのではなく歌われた二人の物語を紡いでいる。様々な立場を除いて研ぎ澄まされた一人と一人の作品が、社会をよく見たバンドから飛び出してくるのは新鮮な感動があった。あとこれが出てきたときにルームシェア小説を書いていて、それはもう動揺した。みなさんも好きなロックバンドから自分の書いてる小説のテーマと同じテーマのMVが出てきたときの気持ちを考えてみてください。

2. THE TRAVELING LIFE / 小山田壮平

結局小山田壮平の価値観というのはこのあたりなのだろうな、と感じるようなアルバム。andyとrockやLife is Partyみたいな楽曲はこの凪いでいる感情に若さによる情熱・緊張感を足せば完成するように思う。結局のところアンプを蹴り飛ばしてしまったのも楽園なんてないと決めつけてしまったのも、消えることのない寂しさに立ち向かってしまったからで、今の彼はそういう寂しさを愛おしむことができているように感じる。それは自分の寂しさの受け入れ方と似ていて、非常に安心する。

すでにライブ等で発表されていた楽曲で構成されており、一曲一曲を見れば旅とは関係ないようなテーマであっても、一枚のテーマが「旅」と言われる納得してしまう。世界を受け入れることで軽やかになった彼の歌声の伸びがそう思わせるのだろうか。「雨の散歩道」は名曲。

1. 3020 / SuiseiNoboAz

もっと遠くまで届く光があるのだと、そう思わせてくれるような光のような作品。千年後まで届く、そう真剣に語れるだけの強さがある音楽から始まって、様々な未来を想像し、死に向かうための答えを見つけ、最後に「それから」を歌う。あまりにも壮大で美しくカッコよく優しい。千年後に届くために、言葉を何度も丈夫に結んだ3020の詩は、千年後も魅力的に映るように思える。

これは私的な話だが、今年の2月に知り合いが亡くなった。そうして今年の10月、その遺作を見る機会があった。感傷的な気持ちでその作品のもとへ向かったのだが、作品を見るなりその気持ちは吹き飛び、感動だけがあった。彼が作ったその作品の力強さと美しさに圧倒された。彼は確かにもうこの世にいないが、彼の作ったものが世界に新たな火花を散らしている。そういうことを理解できた年に、このアルバムのSUPER BLOOMを聞けたのは良かった。僕が七年間ずっと考えてきたことの答えを祝福してくれているかのようだった。

楽曲のプレイリスト

良かった楽曲を単品で。

その他

今年良かったやつを適当に全部突っ込んでるプレイリスト。

去年良かったCD。